わたし、もうすぐ死ぬんだ。

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「あのね、わたし、もうすぐ死ぬんだ。」 突然呼び出され、こう告げられた。 あまり喋ったことない、片桐さん。大人しくて、どんな性格だとか、二年間も同じクラスなのに全く知らない。顔も声もこんなにちゃんと向き合ったのは今この瞬間がはじめてだった。 漫画やアニメでよく見るように、靴箱に手紙が入っていたときは何かの悪戯だと思った。片桐さんが俺を呼び出すはずがない。どうせ待ち合わせ場所に行ったら友達がいて、からかわれるだけだ、そう思いながらも無視することはできなくてその場所に向かった。そうしたら差出人の彼女は本当にいた。そして、もしかして好きだと告白されるのか?と自惚れていた俺は見当違いの告白に何も返せずにいた。 「ど、どういうこと?」 我ながら情けない返事だった。 「あのね、わたし、吉沢くんのこと、好きなの。」 「お、おぉ、ありがと…?」 どうやらあながち見当違いでは無かったようだけど、想像をはるかに上回る突然の告白にもっと情けない返事になった。
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