わたし、もうすぐ死ぬんだ。

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突然の告白のあとに彼女が淡々と話した内容はというと、片桐さんは病気で残された命は少ないと数日前に医師に告げられたということ、それから心配かけたくないからそのことは学校の皆には内緒にしているということ、けれども俺にだけはどうしても伝えたかった、ということだった。 「もうすぐ死ぬって聞いたら同情してくれるかなって。どうせ片思いでフラれるのはわかってるけど、死ぬ間際の人に好きって言われたら嫌いなんて言えないだろうって。ズルくてごめんね。」 あっけらかんと彼女は笑いながら話す。なんだか思ってたイメージと違う。 「もうすぐ死んじゃうって本当なの?」 「信じても、信じなくても良いよ。」 「学校には来れるの?」 「来るよ、吉沢くんに会いに。」 「ごめん、俺、片桐さんのことよく知らないし…付き合うとかそういうの…」 「それは大丈夫。付き合いたいなんてこれっぽっちも思ってないから。それより、私のこと好きになっちゃだめだよ、吉沢くん。…まぁ、絶対にならないと思うから伝えたんだけどね。」 「えっと、じゃぁ、何を…」 「優しくして。」 「え?」 「優しくしてくれたらいい。話しかけたら返事してくれたらいい。あと、この病気のことは絶対に誰にも秘密。それだけで、いいから。」 「そう、なの?」 「うん。わたしの一生のお願い、聞いてくれたら嬉しい。ごめんね、それだけ言いたくて。じゃぁまた明日ね。」 「お、おぉ。」 「ありがとう。」 結局、最後まで情けないままの俺に僅かに微笑むと片桐さんは一度も振り向かずにスタスタと帰ってしまった。
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