重なる約束交わる気持ち

「お父さんお腹すいたー！」
「もう旅館に着くから、風呂入ってご飯にしよう」
「えーっ！！お風呂入らなきゃダメ？私もお腹すいたよー！お母ちゃんが居たらもっと予定管理してくれてたのに！」
「母さんはもう居ないぞー！俺のご飯も美味しいだろう？」
「父さんのは毎回味変わるからね！それが海斗は好きなのかもね」
「加奈はお父さんのご飯は嫌いかぁ。。加奈も海斗の様に環境に慣れていかないといけないぞ！」
「海斗は呑気だからねぇ。海斗は母さんの事どう思ってるの？」
「そりゃいつか帰ってくるんでしょ？姉ちゃんは考えすぎなんじゃない？」
「そうかもね。海斗の母さんは私の母さんなのかな？私とはもう会ってくれそうにないけど」
「そうなの？旅館着いたね！パパお風呂終わったらちゃんとご飯だよ！」
「その予定だ。久しぶりに作らなくて済むし、俺も楽しみだ。」
「父さん。。私も作っても良いんだよ？母さんのお手伝いはしてきたからできない事はないよ。」
「母さんとの約束だ。オマエらに変わった事をさせるなってな！」
「年頃の女の子は料理ぐらいするよ。。」
「そうなのか！じゃあ週末手伝ってくれるか？母さんが手伝ってもらってて俺が手伝ってもらわないわけにもいかないしな！」
「パパは論理的過ぎるよ。。もう少し私を信頼してよ」
「加奈は叙情的だな。そういう想いは海斗に遣え！大人の当たり前と加奈のそれはまだ違う。まぁ俺と母さんも厳密には違うが、過ごしてきた時間がある。その中で加奈は子供として存在している。加奈からしたら不甲斐ないかも知れないが、この関係性の中では加奈は子供でしかないんだ」
「分かったよー。なんかよくわからないけれど」
「解らなくていい。それが解る頃にはそれも自分に取り込めばいい。あくまで子供としてだが」
「分かった。お風呂入ろっか」
「海斗も行くぞ」
「はーい」