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「ハハハ、お前にも嫌いな食べ物あるだろ」
「俊介には絶対に秘密にしててよ」
「言えばいいのに。そうすれば『嫌いなものを一緒に克服しよう』とか言えるだろ。意外と食べてくれるかもしれないぞ」
「あなた自分の身になって考えてないでしょう」
「俺は嫌いなものないから大丈夫だよ。それよりも玲子、お前も嫌いなものを克服できるチャンスだと思うけどな。大変だと思うけど頑張ってみろよ」
そう言って夫は席を立ち、リビングから離れていった。
一人取り残された私は、椅子に座ったままテーブルに肘を置き、両手で顔を覆った。
夫の言うことも一理ある。
食わず嫌いを克服できていない私が、同じ境遇を持っている息子に言っても説得力がない。
「はぁ、どうしよう」
考えても解決策が見つからず、その日は寝ることにした。
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