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「何よ」
私はムッとしながら、息子を見る。
「ちょっと待ってて」
そう言った息子は、台所に向かい、冷蔵庫からある物を取り出し、私の前に置いた。
これは……。
「お母さん、納豆嫌いでしょう。僕に嫌いな物を食べさすんだったら、一緒に克服しよう」
なんてこった。
でも何で、息子が私の嫌いな食べ物を知っているのか?
分からなかった。
呆然とする私に、息子はサラッと「お父さんから聞いたよ。これお父さんが買って来たんだ」と答える。
私は「あの野郎」と呟きながら、頭の中で旦那をボコボコにした。
「食べるわよ。だからあんたも食べなさいよ」
私がそう言うと息子は
「うん、食べよう。お互いに最終試験だね」
と言って席に座る。
私も席に座り、嫌いな納豆のパックを開けた。
このにおいが苦手で、涙が出てきた。
鼻をつまみながら息子を見ると、息子も泣いていた。
「ミスター食わず嫌い」が嫌いな食べ物を食っている。
「私も食べなきゃ」
そう思い、私は納豆を食べ始めた。
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