ましゅまろとまなてぃ先生

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 真白はまなてぃ先生に会えたのがよほど嬉しかったのか、祖父母の家にいったときのことを語り始める。けれど、まなてぃ先生も仕事中に抜けて買い物にきているだろうため、さすがに長く引き留めるわけにはいかない。 「真白、まなてぃ先生はお仕事で忙しいんだからあんまり邪魔しちゃダメだよ?」 「はっ! そうでした。まなてぃせんせーにあえたのがうれしかったのでつい……」 「ごめんねぇ~、本当は真白ちゃんを癒しとして学校に持っていきたいくらいなんだけど……」  まなてぃ先生は至極残念そうな顔で真白を抱っこする。私も高校に真白を持っていけたらと思ったことは何度もあるため、まなてぃ先生の気持ちが痛いほど理解できた。まあ、本当に持っていくことができたなら、きっと授業なんかそっちのけで真白を堪能するとは思うけど。 「あ、そうだ。美緒ちゃん、真白ちゃんの写真撮ってもいいですか?」 「真白の写真ですか? もちろん大丈夫ですけど。真白、いいよね?」 「はい!」 「ありがとう! 真白ちゃんは先生たちの間でもアイドル的な存在なんですよ。だから私だけ堪能したら怒られちゃうので、幸せのおすそ分けしないと」 「そ、そうなんですか……?」  まなてぃ先生が言うには、真白はクラスの植物係をしており、季節ごとの植物のお世話をしながら成長を記録して、それらをまとめて定期的に職員室へ持っていくのだそうだ。その際、真白が職員室へ入ると黄色い歓声がわき起こるという。  高学年の担任ですら真白の認知度は高く、真白と入れ違いになって会えなかった担任たちは一様に残念がるそうだ。逆に、偶然廊下ですれ違って挨拶をされると、その日は吉日とされるという。 「だから今日の私は超ハッピーなんですよ。美緒ちゃんにも会えましたし」 「みおちゃんはとってもれあですよ! しーくれっとのちなもんくらいです!」 「そうそう! 真白ちゃんが真白ちゃんなのは美緒ちゃんのおかげですからね! 拝み倒したいくらいです」  また私の手を握ってぶんぶんと振って喜びを体現する。真白が褒められるのは嬉しいが、私まで褒められるとさすがに照れてしまう。どう返事をすればいいのか分からないので、とりあえず笑って誤魔化した。 「って! もう戻らないと間に合わなくなっちゃう!」  腕時計をちらりと見たまなてぃ先生が叫ぶ。 「はしったらころびますのできをつけてくださいね!」 「了解しました! 美緒ちゃん、真白ちゃん、今日は癒しをくれてありがとうねぇ~!」  夏休みを満喫中の私たちが申し訳なくなってしまうほど、バタバタと慌てて早歩きでレジへ向かったまなてぃ先生。うーん。社会人は大変だ。
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