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『と~っても大好きだよ!』
「ほんとうですか?」
『うん、ホントホント! 学校でもいつも真白ちゃんが可愛い大好きって言ってるもん』
「じゃあなんでみおちゃんはましろにいじわるするんですか?」
『それはね、きっとお姉ちゃんの心が汚れてるから……かな。心が汚れているとね? 好きな人に意地悪したくなっちゃうものなの』
汚れていると聞いて驚いた真白が私に心配そうな視線を向けてくる。佳賀里の言葉は間違っていて欲しいと思うけど、きっと私の心は言う通り汚れているのだろう。だがしかし。それについては後悔など微塵もない。
「どうしよう……。みおちゃんはこころがよごれてるってかがりちゃんさんがいってます」
「あ、うん。そうかもしれないけど、お姉ちゃんが真白のこと好きだってわかってくれた?」
「ちゃんとわかりました。……でもそんなことよりどうにかしないと。――そうだ。みおちゃんいきましょう」
「行くってどこに?」
「おうちです。みおちゃんをせんたっきにいれてきれいにしないと」
真白は真面目にそう言って私の手を引こうとする。しかし、残念ながら洗濯機ではお姉ちゃんの心の汚れは落ちない。落ちてくれるのなら喜んで飛び込んで、ごうんごうんとドラムと共に素っ裸で回転してもいい。でも悲しいことに落ちないのだ。だけど、堕ちてしまう。そんな真白の純粋な発想に。
「ちょっと佳賀里、真白に変なこと言わないでよ」
『美緒がましゅまろちゃんいじめるからでしょ? アタシはフォローしてあげたんだから感謝しなさいっての。あ、ちょーどいいや。今日暇だから昼過ぎにそっち遊び行っていい?』
「え? んーまあいいけど」
『じゃあ決まり! また後でね~』
ブツンと電話が切れた。真白は人の言葉を真っ直ぐに受け取り過ぎる。そして真白は佳賀里のことを信頼している。佳賀里はそれを理解していて、姉妹仲が乱れるような不用意な発言はしない。口に出して言うことはしないが、それにはいつも感謝している。
「みおちゃん? はやくいかないとよごれがおちなくなりますよ」
「大丈夫大丈夫。佳賀里がお昼過ぎに遊びに来るから、そのときに落としてもらえるって」
「かがりちゃんさんがあそびにくるんですか? それならあんしんですね」
怒っていたことなどすっかり忘れているのだろう。真白はいつの間にか普通に受け答えしてくれるようになっている。佳賀里が遊びに来るならお昼ご飯用意した方がいいだろうか。聞くのを忘れてしまっていたし、今から聞くのも面倒だ。用意だけしておいて、いらなければ夜ご飯にでもすればいい。
「じゃあ買い物行こっか」
「はい。しゅっぱつしんこうです」
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