ましゅまろとピザトースト

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ましゅまろとピザトースト

 買い物を終えて帰宅し、買ってきた物を冷蔵庫や棚に仕舞っていく。今日のお昼ご飯はピザトースト。真白が朝ご飯のホットケーキをいたく気に入ったのはいいが、何故か平べったくて美味しいものをリクエストされた。チヂミやお好み焼きなどを挙げている最中、冷凍食品売り場でピザトーストを見た真白がこれが食べたいと言い出したのだ。ただし、真白はピーマンが苦手なので冷凍物ではなく、食パンとチーズやサラミ、ソースを買って好きにトッピングすることにした。 「さて、それじゃあお昼ご飯の準備しよっか」 「もうおなかがぺこぺこです。きょうはましろがごはんをつくりますので」 「ほんと? なら任せちゃおっかな」  テーブルにラップを敷いて、その上に食パンを四枚並べる。ソースとチーズも用意して、真白に作業をお願いする。その間、私はサラミをさっと切るだけして見守る。 「そーすはたくさんがいいですか? はーとがいいですか?」 「是非ハートでお願いします」  ピザトーストにするなら隅までしっかり塗った方がいいのだが、真白の愛情たっぷりのハートが嬉しいに決まっている。でもチーズを乗せたらハートは見えなくなるから、その前に写真も撮っておこう。あと動画も。 「はーと、はーと、は、あ、と……」  プラスチックのスプーンを使ってソースを丁寧に広げていく。集中し過ぎて肘にソースがつきそうになる。優しく注意すると、ソースの入った皿を遠ざけてまた集中する。ずっとハートハートと呟く真白が可愛くて、待ち切れずスマホで撮影を開始してしまった。可愛く撮れたら佳賀里にも送ってあげよう。 「きれいにぬるのはむずかしいです。とくにこのおしりのぶぶん」  誰に言うでもなくそう零した。  真白の描くハートにはお尻があるらしい。いや、真白の言いたいことは分かる。きっとハートの上部をお尻と表現しているのだろう。逆さまにすればそう見えるかもしれないが、真正面から向き合ってそれをお尻と表現する真白は本当に面白い。そして可愛い。 「みおちゃん、できました。どうでしょうか?」 「お、さすがだね。綺麗に塗れてるじゃん」 「つぎはちーずをのせます。これもはーとですか?」 「うん、真白の愛情たっぷりのハートでお願いします」 「まかせてください」  四枚の食パンにハート型に塗られたソース。チーズを乗せるのも、これから焼いてしまうのも勿体ないくらいの出来だった。しっかりと写真を撮ってから、真白に作業の続きをお願いした。
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