ましゅまろとピザトースト

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「あ、ましろはかがりちゃんさんにわたしたいものがあるのでした」  昼食を済ませて寛いでいると、真白が思い出したように立ち上がった。上着のポケットに入れっぱなしだったお菓子の袋を取りに行き、パタパタと急ぎ足で戻ってくる。そしてチョコとグミを取り出すと、佳賀里の目の前に差し出した。 「かがりちゃんさんはましろにいつもおかしくれるので、きょうはましろもかがりちゃんさんにぷれぜんとします」 「きゃーーーーん!!」  突然目をハートにした佳賀里は真白をぎゅっと抱き締めた。右のほっぺに一回、左のほっぺに一回、おでこに一回キスすると、もう一度ぎゅっと抱き締める。身体を揺すって抑えきれない喜びを体現している。真白は何が起こっているのか分からない様子で、佳賀里のされるがままだった。 「あ、ごめんごめん! ちょっと嬉し過ぎて興奮しちゃった」 「だ、だいじょうぶです。ちょっとびっくりしましたけど」 「ましろちゃんに食べさせてもらいたいからあーんして?」 「まかせてください」  チョコの包装を解いて、佳賀里の口に丁寧に放り込む。見たこともないような笑顔でチョコを食べている佳賀里を羨ましく思う。お姉ちゃんとして真白にあーんをすることはあっても、あーんしてとはなかなか言いにくい。お姉ちゃんに生まれた悲しい運命だ。 「美味しー! ましろちゃんあーがとー! アタシちょーハッピー!」 「よかったです。かがりちゃんさんがよろこんでくれてましろもはっぴーです」 「じゃあ、アタシもましろちゃんにあーんしてあげる」 「いいんですか? うれしいです」  今度は佳賀里がくまをかたどったオレンジ色のグミを摘まんで、大きく開けてじっと待っている真白の口に放り込む。両手をほっぺに添えてもぐもぐとグミを食べる真白を、にやついた佳賀里はスマホで写真を撮っている。 「たべさせてもらうともっとおいしくなります。かがりちゃんさん、もうひとつちょこをどうぞ」  グミを食べてご満悦の真白から、さらにもうひとつチョコをあーんしてもらう佳賀里。お返しと言いながら佳賀里は袋に残っているグミを真白にあーんして食べさせる。  目の前で繰り広げられる羨ましい光景をぼうっと眺めながら、私もあーんしてって真白に遠慮なく言えたらな、と大きく溜め息を吐いた。でも、この流れだったら私にもあーんしてって言いやすいかも。そう思いバッと立ち上がる。  あれ? でもちょっと待って。真白が買ったお菓子。  私の分、もうなくない!?
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