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「痛い思いさせちゃってごめんね。大丈夫?」
「大丈夫です。こちらこそ、すみませんでした」
車の中、翔太さんが申し訳なさそうにこちらを見る。
初めてって、結構あっさり終わるんだな。
私は、上の空で窓の景色を見る。外は真っ暗で、外灯が眩しく感じる。
アリーナの駐車場に車を停めてもらい、私は翔太さんの車を降りた。
「気をつけてね」
彼が手を振り、私も手を振り返した。
私は一体何がしたかったのだろう。翔太さんは嫌いじゃない。むしろ居心地が良かった。でもこれは、友達と同じ気持ちではない気がする。
これは、どんな名前の感情が当てはまるのだろうか。
きっともうあの人と会うべきではない。帰り道、なんとなくそう思った。
寝る前にスマートフォンを見ると、翔太さんからメッセージが届いていた。
『次はいつ待ち合わせする?』
私はおもむろにスケジュール帳を開き、返信する。
『来週の金曜日空いてます』
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