待ち合わせ

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 私には去年までよく遊ぶ友達がいた。中学生からの仲で、一緒に居ると安心する子だった。私達はいわゆる腐女子というもので、二人で会ってはBL話に花を咲かせていた。 「私絶対彼氏とかできないわ。BLが命」  彼女はよくそう言っていた。私も恋人がいなく作る気もなかったから、一緒にいると心地良かった。 「穂波ちゃん、私ね、異動になったんだ」  ある日、友達は異動になったことを教えてくれた。その場所が他県で、簡単に会えなくなることも。 「そっか。寂しくなるね」 「でも帰る時は連絡するし、通話とかメールとかいっぱいしよ」  その子はそう言い、転勤の日を迎えた。  最初の頃はよくメールしていてが、次第にやり取りが減っていった。  その子の誕生日のお知らせが届き、久しぶりにトーク画面を開いた。 「え?」  その子のプロフィールの写真は、私の知らない男性の後ろ姿になっていた。 「私びっくりしちゃって、素直に喜べなくて。おめでとうって言えなかったんです。最低ですよね。恋するもしないも、その子の自由なのに」  私は、ミルクコーヒーの蓋を回す。 「最低じゃないよ」  彼の言葉に安心し、私は続けた。 「羨ましかったんです。私も、誰かと繋がってみたいって思ったんです。その子の気持ちを味わってみたいって」  そこまで話終わると、翔太さんは私の手の甲にそっと自分の手を重ねた。 「もう少し、その子の気持ち味わってみる?」
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