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小学生の頃からの付き合いで互いに切磋琢磨しながら絵を描き続けて来た関係性であり、有美のアカウントを絵の傾向と癖から見抜いた目敏い少女である。
「バラバラになるね、進路」
「引っ越す訳でも無いしすぐに会えるでしょ?」
「でも、やっぱり怖いよ。新天地って奴は」
絵と向かい合いながら架純は小さく微笑む。
弱音を零す時、架純は口端を歪ませる癖がある事を有美は知っていた。バームクーヘンを千切り渡すと小さな口で食べ始める。曖昧な時間が流れて、静寂すら心地好く感じていた。
「ねえ、息抜きにこのキャラの二次創作しない?」
渡された漫画の表紙、読み進めている最新刊のヒロインが描かれていた。金髪と真紅の瞳が美しいキャラクターで、有美の最推しの一人だった。一寸の行き先さえ分からない衝撃の展開の連続で、この推しもいつ死ぬか分からなくてハラハラしていた所だった。
「上手く描けるかなあ……模写でもそんな描かないし」
「取り敢えずやってみようよ。駄目だったら止めたらいいし、出来が良かったら喜べばいいし」
そんな言葉を信じ、有美は初めての二次創作に身を投じた。漫画のコマ割を採用し、それぞれ一ページで起承転結を描き切った。存外出来は良かったので有美は嬉々として絵を投稿した。
その絵は今までで一番の反響を呼んだ。
バズってしまったのだ。西野有美という思春期の少女にとって最悪のタイミングで、唐突に。
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