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三面鏡はカバーを掛けたまま、しばらく放置していた。 生涯独身だった叔父さんも 病気で亡くなり、 叔父さんの歴史的建造物も 他人の所有物になっていた。 叔父さんが亡くなって、 四十九日も過ぎた頃に 叔父さんが 夢に出てきた。 「そろそろ良いだろ。」 叔父さんに言われるままに 三面鏡のカバーを外して開いてみた。 自分の頭を入れて左右を見る。 自分の顔が無限に見える。 すると、突然後ろから押された。 鏡が割れる勢いだったのに 何と、自分の身体が 鏡の世界に入ってしまった。 そこは、今までいた自分の部屋とは違う景色。 幽霊の叔父さんがニコニコしながら立っている。 「そう言う事だ。」 すると、自分にそっくりだが 衣服が違う人が肩を叩く。 「やあ、宜しく。」 彼から色々と細かく状況を説明されて 何となく、今の自分の状況が理解できた。 叔父さんも同じ体験者だった様だ。 自分も独身、叔父さんも独身。 同じ三面鏡が彼の部屋に有るので 好きな時に、元の自分の世界に帰れた。 何だかワクワクして楽しかった。
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