ニューギニア

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ニューギニア

終戦間際の、厚木基地に行き 整備員から 零戦五二型のマグネット部品を サントリーの角瓶二本と交換してきた。 そのまま、ニューギニア西部の バボ基地に行く。 そこには、 零戦五二型の整備機体が 一機残っていた。 マグネットの新品が有れば 飛行出来る機体。 早速、その基地に残置されていた 整備員に厚木基地から持ってきたマグネットの新品を渡す。 直ぐに取り付けて エンジンをかけてみた。 試運転は快調だった。 自分は、海軍予備中尉の整備士官の衣装で来ていた。 「分隊士、ありがとうございました。これで原隊に復帰出来ます。」 ここに、故障で取り残されていた 予科練出身の 若い二等兵曹が 自分に敬礼して 零戦に乗り込んだ。 胴体下に 落下増加タンクを付けて 燃料、弾薬満タンで 単機で離陸して行った。 彼は、自分の親戚だったのだ。 現代では 生き残り 自分が生まれる前に 病気で亡くなっていた。 バボから無事に日本まで 帰国してきた体験談を 留守家族は聞いていた。 バボ基地の整備員達には 土産の煙草を大量に渡した。 飛び上がって喜んでいた。 自分も他の廃棄機体の部品を袋に詰め込んで帰る。 この時の 99式双発軽爆撃機の部品が 後日、高く売れた。
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