空腹巫女と就活霊

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続いて2回戦。 相手は、医療系人材派遣を行っている、創立して20年オーバーの中々に大きな会社だ。 勤務地は浜松町の本社で、面接場所も同じく浜松町の本社ビルである。 本社ビル内にあるかなり広めの会議室で、和やかに始まる最終面接。 会話のテンポも良く、雰囲気だって正直悪くない。 面接担当者は人事担当の壮年の男性だが、非常に朗らかだ。 しかし――! 面接終盤に事件が起きる。 「はい、貴女は内定ね!じゃ、これ契約書だから!今押印してくれる?」 ――ほわっつ? なんと、面接終盤にて内定が出ると同時に契約書が提示された。 しかも、その場で押印を迫られるというウルトラCの大技だ。 (私がネットで調べた限りじゃ、その場で決断を迫って来たり、契約書まで出してくる会社っていうのはあまり良い噂を聞かないけど) ――果たして、この会社は色々と大丈夫なのか? 私は幽体のまま、美々の後ろから契約書を覗き込んでみる。 すると――。 (うっわぁ……) 出るわ出るわ。 求人サイトと違う労働条件のオンパレードだった。 先ず、ボーナス。 求人サイトでは必ず出ると書いてあるが、契約書には『なし』と書いてあるではないか。 人事担当者曰く、 「君、事務職希望でしょ?だからボーナスはなしなの。うちはね?営業社員にしかボーナスを出してないから。え?求人サイトには『あり』って書いてあった?そりゃそうだよ。厳密にはボーナスが出ない訳じゃないからね。営業にだけはボーナスを出すんだから!ほら、なしじゃないでしょ?」 と、いうことらしい。 (いやいや、それはもう労働条件詐称だろう) 私なら、こんな下らない言い訳を聞いた時点でこの企業には見切りをつけて、この場を退室してしまう。 しかもこの企業、他にも――、 「昇給?ちゃんとするよ!1年に1回!少なくて500円!多くて1000円だけどね!」 「うん?交通費?勿論出るよ!ブラック企業じゃないんだから!1ヶ月3000円までだけど!」 と、まぁ、中々に香ばしい事を色々とやらかしてくれている様で。 単純で押しに弱い美々(おたんこなす)は、人事担当者の勢いにおされ、その場で契約書に押印しそうになっていたが、私がポルターガイストという名の暴力(物理)に訴えて止めさせた。 こうして、私と美々の最終面接第2回戦も、虚しく撃沈したのである。
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