空腹巫女と就活霊

18/19
前へ
/19ページ
次へ
そんな美々を見つめ、静かに頷く私の父。 彼は美々を見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。 「うちの娘のことを、そんなにも思ってくれてありがとう。父親として、これ程嬉しい事はありません。本当にありがとう、小川さん。私は、貴女を採用します」 「ありがとうございます……!」 その言葉を聞いた瞬間、弾ける様な満面の笑みを浮かべ、大きく返事をする美々。 すると、彼女の体が――笑顔が、眩い光に包まれた。 あまりの眩しさに目を開けていられず、私は思わず目を閉じる。 すると、耳元で不意に美々の声がした。 「本当にありがとうございます、素敵な霊能者さん」 ――最期に貴女に出会えて、私、とっても幸せでした。 彼女の声に、はっと目を開け、辺りを見回してみる私。 しかし、そこにはもう、美々の姿は無かった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加