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そんな美々を見つめ、静かに頷く私の父。
彼は美々を見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「うちの娘のことを、そんなにも思ってくれてありがとう。父親として、これ程嬉しい事はありません。本当にありがとう、小川さん。私は、貴女を採用します」
「ありがとうございます……!」
その言葉を聞いた瞬間、弾ける様な満面の笑みを浮かべ、大きく返事をする美々。
すると、彼女の体が――笑顔が、眩い光に包まれた。
あまりの眩しさに目を開けていられず、私は思わず目を閉じる。
すると、耳元で不意に美々の声がした。
「本当にありがとうございます、素敵な霊能者さん」
――最期に貴女に出会えて、私、とっても幸せでした。
彼女の声に、はっと目を開け、辺りを見回してみる私。
しかし、そこにはもう、美々の姿は無かった。
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