空腹巫女と就活霊

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――あれから3ヶ月。 私は今も、普通のOLを続けている。 ただ、変わった事があるとすれば――。 「ね?大丈夫?」 通勤途中の歩道――その道端で泣いている少女に、声をかける私。 私の声に顔を上げた彼女は、頭が半分欠けていた。 中々に凄惨な様子の幽霊だ。 でも、私は決して動揺したりはせず――笑顔を浮かべたまま、彼女に手を差し出した。 「あなたも、何か理由があって此処にいるんでしょ?一緒に来ない?私がきっと、あなたの力になってみせるから」 そう話し掛けつつ、少女に向けて力強く頷いてみせる私。 ――あの日以来、私は積極的に霊に関わる様になった。 勿論、まだまだ出来ない事も多い。 それでも――。 “最期に貴女に出会えて、私、とっても幸せでした” そう言ってくれた、美々のあの時の言葉がある限り。 私は前よりほんの少しだけ、自分が出来る事を頑張ってみよう、と――そう思える様になったのだ。 「ありがとうね、美々。私も、貴女と出会えて良かったよ」 晴れ渡った空に微笑みながらそう告げると、私は、霊である少女の手を握って歩き始めた。 【完】
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