空腹巫女と就活霊

(ぅぅ、ラーメン屋も良いけど、あそこのハンバーガー屋も美味しそう。って、あれ？新しくパン屋が出来てるじゃん！これは行かないと！)

所狭しと立ち並ぶ飲食店に悉(ことごと)く誘惑されながらも、山手線のホームを目指し、必死に歩を進める私。

と、複数立ち並ぶ飲食店と飲食店の丁度真ん中――その間にある空間に、何やら丸まった黒い物があるのに気が付いた。

(ん？何だろ、あれ)

少なくとも、今朝出勤の際通った時には、あんな物見た覚えは無かったが。

一体、あれは何なのか。

(黒い塊……ゴミでパンパンになったゴミ袋、とかかな？……というか、あれ……動いてない？)

そう、よく見てみると――その黒い物体は、ぷるぷるわなわなと小刻みに蠢(うごめ)いているのだ。

(えぇ……。一体何？動く物って……。……まさか、時限爆弾や怪しい生物兵器とか？！)

――だとしたら、とてつもなく困る。

駅で不審物が発見されれば、たちまち電車はストップしてしまい、下手をしたらタクシーか徒歩で遠方の家まで帰らなくてはいけなくなってしまうのだ。