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(せめて、駅員に引き渡すか)
私は、乗務員室に案内する為女性に声をかけようと、その肩に手を伸ばす。
しかし――。
スカッ。
女性の肩に乗せた筈の私の手は、コントよろしく見事に空を切った。
女性はいるし、肩もある。
なのに、触れること『だけ』が出来ないのだ。
私の胸に込み上げて来る、とてつもなく嫌な予感。
けれど、私が逃げるより先に、女性が勢いよく振り返った。
「ああー!遂に見つけましたぁぁ!霊に気付いてくれる人!」
泣き腫らした目でそう叫ぶ女性。
そんな彼女は、まるで少年漫画に出て来るヒロインの様にとても愛らしい容貌をしていた。
(し、しまったぁぁー!霊だったかぁぁぁー!)
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