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その後、無事(?)に帰宅した私は、直ぐに自室に飛び込むと、部屋の扉の鍵を閉める。
そして、くるりと後ろを振り返った。
そこにいたのは――なんと、池袋駅にいたあの女性の霊だ。
彼女は、うっかり声を掛けてしまった私に、憑いて来てしまったのである。
私は、そんな勝手に憑いて来た女性の霊に向き直ると、やや苛立ちながら話しかけた。
「さて。じゃぁ、私に憑いて来た事情を聞かせて貰おうかな!」
「はぁい!」
私の言葉に、何故か嬉しそうにぶんぶんと頷く女性。
その大きな瞳とあいまって、まるで子犬の様な印象だ。
本当に、腹立たしい位の美人さんである。
そんな彼女は、その黒目がちな大きな瞳に涙を浮かべながら、自分の身の上と、自分に起きた不幸を訥々と――ときには鼻をすすり、言葉に詰まりながら、語り始めた。
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