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通常の霊なら、これで一発退散になる筈だ。
そう、その筈だった――が!
「えーん!痛いです~!酷いです~!」
何度大幣で引っ叩いても女性が消える気配が一切無いのである。
というか、いい加減泣き声が煩い。
よりボリュームを増した騒音の元凶を半眼で睨みつけながら、どうしたものかと手を止め、暫し考え込む私。
(まさか、こいつ……普通のお祓いじゃ祓えないってこと?)
――おバカそうに見えて、実はラスボスレベルの悪霊だとか?
すると、私が手を止めたからか、一旦泣き止む女性。
彼女はぐずぐずに涙と鼻水にまみれた顔を上げると、じっと私を見上げて来た。
「あ!もしかして、やっと私が可哀そうな霊だって分かってくれました?居候OK的な?」
いやマジで違うから。マジで。
一体どうなってんだ、この霊の頭の中は。
都合のいい事ばかり考えて……脳内がお花畑なのか?
ついつい、そんな底意地の悪い事を考える私。
でも、通常の方法で祓えないのは事実であり現実なので――私は再度、頭を抱えてしまうのだった。
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