テロ制圧部隊

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テロ制圧部隊

「全隊員、長官の壁に覆われた広い空間で 綺麗に整列した隊服姿の男たちが 一点を見つめ一斉に敬礼をした……。  この日、国家警察下で新設された部隊の 発足式がとある場所で行われていた。  新設された新しい部隊とは、 国家警察下、秘密裏に組織された テロ制圧部隊のことである。  部隊は警察内部でもエリート中のエリートが 厳しく過酷な訓練に耐え合格した者だけが入隊を 許可される。  20名づつで構成されたふたつの部隊。  名前は、その部隊の隊長の名前が命名される。  「南部隊……角田誠、霧島賢治……」  次々と隊員の名前が読み上げられるなか、  「神谷武蔵……」  「はい」  最後に名前を読み上げられた武蔵が 返事をし隊列の一番端に並んだ。  神谷武蔵……27歳  「入江部隊……影山一郎、蓑田勉……」 南部隊と同様に隊員の名前が読み上げられる。  「月野春香……」  「はい」  突然空間に響き渡る、女性の声……。  その声に武蔵は思わず目線だけを、 声の主に合わせた。  女……? この過酷な部隊に……。 それも、俺たちと同様に過酷な訓練を耐え抜いたのか? 武蔵をはじめ、そこに並ぶ隊員全員が そう思ったその時、 長官の声が響き渡った。  「諸君は、この国を凶悪な組織から守るために 秘密裏に新設されたテロ制圧部隊だ。  任務内容は聞いていると思うが、主な任務として 偵察、内偵、潜入、そして制圧だ。  すべての任務は極秘裏に行われるために、 君たちの日常生活にも影響を及ぼすだろう。  若い諸君の人生を…… この国の治安と平和を守るために捧げることになる。  人生と命を賭けた任務を……。 諸君の……幸運を祈る。必ず生きて戻れ」  長官の話を聞き終えた武蔵は、 自分の人生と命を賭けた任務か…… と頭の中でそう呟いた。 「以上、解散……」  その声と共に、その場にいた40名の隊員は 一斉にバラバラになった。    
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