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タッタッタッタ……。
地下の抜け道を走る武蔵と月野。
「長距離は得意なの……?」
武蔵が月野に話しかけた。
「一応ね、昔、陸上部だったから……」
「そうなんだ。どうりで息が切れないんだ」
「ちなみに短距離も得意だから……」
「あ~、そうですか。
本当に男なみの体力だよな」
「それは、どうも……」
タッタッタッタ……。
走る速度を上げる二人。
そして……
二人が立ち止まると、目の前に鉄の扉が現れた。
微かに入り込む外気に、扉の向こうは屋外で
あることを認識する武蔵と月野。
カチャ……。カチャ……。
二人が拳銃を構えた。
扉の両サイドに立つ武蔵と月野。
武蔵が頷くと、月野が勢いよく扉を開けた。
扉が開き、武蔵と月野が銃を構え、
扉の向こうに足を踏み入れた。
二人の前には……
両手を後ろで拘束され、
口にタオルを押し込まれた人質の姿。
そして、数人の男達が停車している
車に向かっているのが見えた。
それを確認した月野が、
「距離およそ15メートル」
と呟いた。
「了解……」
武蔵が駆け出した。
パキュン、パキュン……
武蔵に気づいた男が、武蔵に向かって発砲した。
咄嗟に武蔵は、地面にしゃがみ込み
横に転げながら男の両肩を狙って発砲した。
パキュン、パキュン……。
う……。武蔵に狙撃された男の銃は、
地面に弾き飛ぶと同時に、
両肩を撃ち抜かれた男が地面に倒れ込んだ。
その光景を見た男達は慌てて、向きを変えると
障害物に身を隠して、発砲を始めた。
パキュン、パキュン……。
パキュン、パキュン……。
パンパンパン。パンパンパン。
鳴り響く銃声の音に、人質も身をかがめたのが
見えた。
「神谷……いくわよ」
「了解……死ぬなよ。月野」
武蔵の声を合図に、男達の背後に回り込んでいた
月野が人質の片腕を掴み、一気に自分の方へ
引き寄せると、前にいた男達に向かって
次々に発砲した。
パキュン、パキュン、パキュン、パキュン
連射音が辺りに鳴り響くと共に四人の男達が
月野と人質の前に倒れ込んだ。
「ん…ん……ん~」
銃で撃たれた男が次々と地面に倒れ込む姿を
見た人質は驚き腰を抜かした。
武蔵が月野の見事な反射神経と、的確な狙撃に
関心したのもつかの間……。
武蔵は、抜け道となった廊下を
追いかけて来る足音を耳にする。
「まずい、追手がきたぞ」
月野にそう告げると、腰を抜かした人質に
向かって……
「立て……あの車まで走るぞ」
と言い片腕を掴み立たせると停車していた
車まで三人は走り出した。
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