1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここはどこ?」
私が聞くと案内人の女性が、
「ここは三途の川です。
この川を渡って向こう岸に行けば、あの世となります。」
と教えてくれた。
「麗華さんの姿は、この世で生きている人間には見えませんし、麗華さんの声も聞こえません。
麗華さんは、あの世に行く前に、行きたい場所、会いたい人はいますか?」
案内人の女性の言葉に、私は少し考えてから、
「『木村 千颯(きむら ちはや)』に会いたいです。」
と答えた。
すると辺りが急に明るくなり、私が在籍している大学の経済学部の教室が見えてきた。
私の体はふわふわと宙に浮いているような感じで、天井から見下ろすように教室内が見えていた。
その教室には呆然と立ち尽くす千颯の姿があって、千颯が見つめる先には横向きに倒れた私の姿があった。
この日私は急に千颯に刃物で刺されて、そのまま気を失い、気が付いたら真っ暗闇の世界で案内人の女性に出会ったのだ。
少しすると『雄絆(ゆうき)』が教室に入って来て、その場の状況を見てスマートフォンで警察に通報しているようだった。
しばらくすると教室に警察官の男性1人と教授が入って来て、少しすると救急隊員も入ってきて、救急隊員は私の体を仰向けにして心臓マッサージを始めたようだった。
しかし私は息を吹き返すことはなく、ストレッチャーに乗せられて私の体は教室から運び出された。
警察官は千颯と少し話をしてから千颯に手錠をかけていた。
さらに少しするとスーツ姿で手に白い手袋をした刑事らしい男性3人と女性1人が教室に入ってきた。
刑事らしい男性が千颯と少し話をしてから警察官に何か指示をしているようで、警察官が千颯を教室の外に連れ出した。
私の体はふわふわと舞っているような感じで、上から千颯を見下ろすように千颯の後をついて行った。
校舎の外に出た千颯はパトカーに乗せられて移送されるようで、校舎の外に出た私の体は校舎の2階位の場所に高く舞い上がり、走りだしたパトカーを追って警察署までついて行った。
警察署に到着すると千颯は取調室に入ったようで、私も千颯と一緒に取調室の中に入った。
私の体は、ふわふわと宙に浮いているような感じで、天井から千颯を見下ろしていた。
最初のコメントを投稿しよう!