私が死んだ訳

取り調べが終わった千颯は、留置場に入れられた。

私は留置場の中でふわふわと宙に浮いたままの状態で、千颯が部屋の隅に座ってうつむいて泣いている姿を目の当たりにした。

私は何とか千颯に話ができないものかと思って千颯に声をかけたけれど、千颯には私の姿が見えないようで声も聞こえないようだった。

すると私の傍に案内人の女性が現れて、

「先ほどもお伝えしましたが、千颯さんに麗華さんの姿は見えませんし、麗華さんの声も聞こえません。」

と教えてくれた。

でも、このままでは私は浮かばれないと思って、

「どうしても千颯に伝えたいことがあります。

　お願いします。

　千颯と話をさせてください。」

と少し強い口調で訴えた。

「規則で、どうしてもできないのです。」

案内人の女性の言葉を不審に思った私は、

「規則って…

　どういう意味ですか？

　私は千颯と話ができるのですか？」

と言うと案内人の女性は少し動揺した様子だった。

「できるのですね！

　私は千颯と会話ができるのですね！」

私が強い口調で訴えると、案内人の女性はたじろいだ様子だった。

私はさらに案内人の女性を問い詰めるように、

「千颯と話ができないのでしたら、私はあの世には行きません。」

と言うと案内人の女性は観念したようだった。