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「わかりました。
一時的に千颯さんの前で麗華さんの姿が見えるようにします。」
案内人の女性が話し終えると私の体は床に舞い降りて、床に座ってうつむいて泣いている千颯の前に立った。
私は千颯に声をかけてみた。
「千颯」
私が千颯に声をかけると千颯は座ったまま頭を上げて、私の顔を見て驚きを隠せないようだった。
「千颯、大きな声を出さないでね!」
私がとっさに千颯に忠告すると千颯は頷きながら、
「本当に麗華なの…」
と言ってきたので私は、
「そうだよ!」
と答えた。
「私は死んだけれど魂はまだこの世にいるようなのよ!
私は千颯にどうしても話さなければならないことがあって、今ここにいるのよ!」
私が千颯に自分の状況を話すと、千颯はまだ信じられないといった表情をしていた。
「千颯、私は千颯に絶対に嘘はつかないから、しっかりと聞いてね!
雄絆のことなんだけれど、雄絆は私の腹違いの弟なの…
私は最初の母と父の間に産まれた子供で、私が物心つく前に父と母は離婚することになって、私は母に引き取られたのよ!
雄絆は父が再婚した母親との間に産まれた子なの…
雄絆と私はお互いのことを知らなくて、同じ大学で知り合ってお互いに姉弟だと分ったのは、つい最近のことなのよ!」
私は静かに落ち着いた口調で、千颯に正直に全てを打ち明けた。
「このことを千颯に話すべきだったと思うけれど、でも雄絆と私は姉弟であることを、まだ誰にも話していないんだよ!」
私が話すと千颯は大きなショックを受けたようだった。
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