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「安村さん、誕生日プレゼント、おねだりしてもいいですか?」
「ん?もちろんいいさ。僕に叶えられる範囲で、でよければ。イッカイの勤め人だからな。そのあたりの財布事情は汲んでくれよ」
安村はドン、と胸を叩く。
美咲は一呼吸おくと、にっこり微笑んだ。
「私と一日デートしてください」
「へっ?」
安村には珍しく呆けた返事。
美咲は携帯を取り出すとここぞとばかりに追撃した。
「大丈夫です、予算はそんなにかけませんから。あ、安村さん、ここ、入館料なしで見学できるみたいですよ。あ、ここでは馬が飼育されているんですって。無料で乗馬体験もできるって書いてます!交通費はかかっちゃいますけど」
あっけに取られて答えられない安村に変わって返事したのは、ママだった。
「やっちゃんの負けね」
ニヤニヤと笑いながら安村のグラスに瓶ビールを注ぐ。
「最高のプラン考えなさいね。だって美咲ちゃんの初めてのデートなんだから」
※
おろしたての水色膝丈シャツワンピ。ウエストを心持ち上の方で絞りV字にしている襟元がさみしくならないよう、ネックレスをつける。
今日の行き先に合わせて、昔沖縄旅行に行った際に購入した亀のネックレスにした。
昨日美容院で整えた髪を襟足がスッキリ見えるようにゆるくまとめる。
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