462人が本棚に入れています
本棚に追加
パックをして寝たからか、いつもより潤っている肌。
時間はまだある。そっとメイク道具を開けると丹念に色を乗せていく。
外は暑いのだ。せっかくのデートで化粧が崩れないように下地は丁寧に。
厚塗りにならないようにファンデーションをスポンジで薄く伸ばし、ルースパウダーをブラシでサッと塗る。
リキッドタイプのアイブロウで眉を整える。アイシャドウは迷った末、一番顔馴染みがいいから、いつもと同じピンクゴールドをしっかり目に塗る。
マスカラとアイライナーは敢えて省く。
淡いピンクのリップを塗り、少しだけグロスでツヤを出した。
仕上げにメイクキープミストをシューッと吹きかけた。
「よし!」
鏡の中で微笑む美咲は、自分で見ても可愛いと思える仕上がりだった。
服の色に合わせて水色のリボンが付いたかごバッグを持ち、ヒールがほとんど無い白いサンダルを履く。
少しでも安村の目に止まりたい。少なくとも、妹ではなく、女性として見られるくらいには。
よし、と気合を入れて美咲は安村との待ち合わせ場所に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!