立ち位置

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パックをして寝たからか、いつもより潤っている肌。 時間はまだある。そっとメイク道具を開けると丹念に色を乗せていく。 外は暑いのだ。せっかくのデートで化粧が崩れないように下地は丁寧に。 厚塗りにならないようにファンデーションをスポンジで薄く伸ばし、ルースパウダーをブラシでサッと塗る。 リキッドタイプのアイブロウで眉を整える。アイシャドウは迷った末、一番顔馴染みがいいから、いつもと同じピンクゴールドをしっかり目に塗る。 マスカラとアイライナーは敢えて省く。 淡いピンクのリップを塗り、少しだけグロスでツヤを出した。 仕上げにメイクキープミストをシューッと吹きかけた。 「よし!」 鏡の中で微笑む美咲は、自分で見ても可愛いと思える仕上がりだった。 服の色に合わせて水色のリボンが付いたかごバッグを持ち、ヒールがほとんど無い白いサンダルを履く。 少しでも安村の目に止まりたい。少なくとも、妹ではなく、女性として見られるくらいには。 よし、と気合を入れて美咲は安村との待ち合わせ場所に向かった。
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