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年の差をやけに気にして、一線を引こうとしている安村は気付いているのだろうか。
自分からは誘わないが美咲が誘うと、絶対断らないことを。
自分からは始めないけど、一度唇を重ねた後は安村の方が名残惜しそうに何度もキスをすることを。
だから、体を重ねるのも。
美咲が誘ったらきっと安村は……。
「服、脱がしていいですか?」
再び安村の喉がなる。
「君は……」
怒ったように聞こえたのは気の所為か。
それきり黙りこくった安村に美咲は次の手を打つために口を開こうとする。
が、声を発することはできなかった。
強い力で肩を掴まれると、貪るように口を塞がれる。
激しい接吻。舌で口の中を犯される。
初めて見る荒々しい安村の一面。
自分の行動が彼の見たことのない顔を引き出せたと思うと興奮が止まらない。
「あっ……」
束の間、唇が離れた。その瞬間、美咲の見ている景色は一転する。
押し倒される、という言葉が生易しいくらいの勢いで仰向けにされる。
「美咲君」
こんな状態になってもまだわずかに理性が残っているのか、安村は苦しそうに眉を寄せる。
美咲は彼のシャツに手を伸ばしてボタンを外した。
「もう、我慢できない」
その瞬間、ブチッと聞こえるはずはない音が聞こえたような気がした。
「君は、……本当に悪い子だ」
言葉と同時に、荒っぽい手つきで安村の手が美咲の服をめくったのだった。
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