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「大丈夫です」 「そうか、良かった」 ホッとしたように笑う安村は、次の瞬間には真剣な表情を浮かべる。 「美咲君、順番は逆になったが付き合おうか」 予想した通りの安村の言葉。 本来なら嬉しいハズなのに、美咲は泣きそうになる。 彼の言葉に嘘はないのだろう。だけど、どうしても責任を取るために言っているように聞こえる。 (そんなつもりじゃなかったのに) 美咲は首を振る。事前に決めていたのだ。 さぁ、ちゃんと笑顔で重くならないように明るく言おう。 「気にしないでください。ただ、練習したかっただけですから」 予想していなかったのだろう。 安村は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。 「美咲君は……」 「安村さん、お風呂借りていいですか?」 「ん……あぁ、いいよ」 何か言い募ろうとする安村を遮った。 早く、早く。 安村の案内がじれったい。 「ここにタオル置いておくよ」 ごゆっくり、のセリフと共に閉められた洗面所の扉。 同時に涙がポロポロと溢れてくる。 声が漏れないように歯を食いしばりながら、美咲は浴室のドアを開けたのだった。 ※ 身体を念入りに洗って泡を流した美咲は、浴室を出ると昨日の服一式を再び着て身支度を整える。 湿り気を帯びた下着が、昨夜の出来事を明確に伝えて来る。
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