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そんな彼女からの励ましに安村はどんな気持ちで真希の言葉を受け止めたらいいのかわからず、とりあえず微妙な顔になりながらも頷く。 そんな安村の苦虫を噛み潰したような顔が面白かったのか、大きな口を開けて笑った真希は、左手をヒラヒラとさせる。 その行動で安村は、ハッと気付いた。 「ちょっ……。米田先生、その……」 「ま、私はそういうことだから」 やっと気づいた、というようにニヤリと口角を上げた真希は、今度こそ部屋を出ていった。 彼女の薬指には真新しい指輪が光っていた。 ※ 安村が悶々と考え込んで恋愛から遠ざかっている間に、真希は新しい一歩を踏み出していた。 そこそこ長く付き合ったから、安村の時間が4年前で止まっているを知っていたのだろう。 幸せな道を歩み始めた彼女の、叱咤激励。 うまくいくといいね、という真希の言葉を素直に受け止めた安村だったが、裏腹に美咲との縁が続いているのかどうかわからなかった。 あれから3週間になる。 その間、3日と明けずに来ていた美咲からの連絡が一切ないからだ。 ――また連絡する。 その言葉を待ち続けているのに、自分からは連絡することができない。 (まったく、32にもなって僕は……) チキンにもほどがある。 研修が終わるやいなや会場を飛び出した安村は、美咲にメッセージを送った。 『今日、空いているかい?久しぶりにママの店で飲まないか?』と。
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