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安村の気持ち
シャワーで酒の余韻を流した美咲は、ベッドに倒れ込む。
彩葉の言葉が頭を何度もリフレインしていた。
――告白してみたら?聞いてる限り、安村さんって安易に体の関係持たない人っぽいし――
良い結果になるかもよ、とウインクしながら笑う彩葉に美咲は答えなかった。
気持ちは伝えない。この関係を始めた時にそれだけは決めていたから。
※
「はあっ!?」
久しぶりに会った安村からの衝撃的な告白に、前野は驚きを隠せなかった。
「すまない」
「いや、お前が謝ることじゃ……」
頭を下げようとする安村を手で押し止める。
そうだ、安村が悪いわけじゃない。こいつは自分が悪者になるように話しているが、前野にはわかっていた。
(どうせ美咲が安村の優しさにつけ込んだんだろ)
妹が昔から安村に憧れていたのは知っている。
友人の自分から見ても安村はいい男だ。
長い事失恋を引きずっていて彼女こそ作ってはなかったが、決して女に不自由するタイプではない。
だから何故安村が自分の妹とそんな関係になっているのか、不思議でたまらない。
なおかつ……。
「えっと、……付き合っては、ない?」
「そうなんだ」
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