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「でも体の関係は……」
「……もった。というかもっている」
クラクラしてきたのは、きっと気の所為ではない。
「で、安村はどうしたいんだよ」
内心では、あの美咲!と叫んでいたが、表面上は冷静を装って安村に尋ねる。
安村は、困ったように眉を寄せた。
「どうしたいも何も、付き合おうって言っても断られるからな。……今の僕には選択肢はないさ」
ホロリと片頬で自虐するように笑う。
「あの……バカ妹が!」
今度は言葉になった。
安村が前の恋愛で傷ついていたのを間近で見てきた。
親友として、次の恋人とは幸せになってほしい。そう願っていたのに。
身近な人間が安村を弄んでいるとは。
怒りが顔に出ていたのか、安村が前野を宥める。
「そう怒るなって。キチンと責任は取るから」
安村は笑う。
含みのある言い方と、自信ありげな顔をする安村に、前野は一つの疑問を口にする。
「まさか、安村……。お前……子ども」
一瞬キョトンとした安村は、笑いながら首を振る。
「さすがにその辺はキチンとしてるさ。7つも年下の娘だぞ。万が一はなくはないが、キチンと避妊してるさ」
「そうか。……そうだよな」
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