友人の妹

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友人の妹

「やっちゃんが女の子連れて来るなんて、まぁ」 「たまにはいいだろ?()()()()なんだ」 冷やかそうとする小料理屋のママに牽制の意味を込めて、安村は「友人の妹」を強調した。 何か少しだけ面白くない。 そりゃあ、「友人の妹」で正解だけど。 少しだけがっかりした自分に、美咲は内心焦る。 そんな美咲の葛藤を知らずか、安村のいつもの定位置だというカウンターの片隅に並んで座る。 「美咲君……」 「美咲ちゃんっていうのね。ビールでいいかしら?」 安村が好みを聞くより早くママに訊ねられる。 が、美咲が答えるより先にママは瓶ビールとコップを二人の前に置いていた。 横で苦笑いをしながら安村が言い添える。 「ここでは彼女がルールだから」 「当たり前でしょ。私の城よ」 美咲はたまらず噴き出した。 ゆっくりしていってね、といい添えたママの笑顔に気負っていた何かがすうーっと解けていく。 安村が懇意にしているのがわかるくらい聞き上手のママ。 美咲はあっという間にこの店が好きになった。 美咲が酒飲みということもすぐにバレる。 「やっちゃん、いいところ見せないと」 そういうとママは店で一番高い焼酎のボトルを安村に見せる。 流石に一瞬勘弁してくれ、という表情を見せた安村だったが、ママには勝てない。 諦めたようにボトルを入れることを承諾した。 「ママには敵わないな」
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