#04. 灰かぶりシンデレラはムードに流されるのか?

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 性を知らないわけではないけれど、いままでのは、とんだ茶番だったのだと思い知らされる。  もっと。これ以上を知れたらどれほど楽だろう。  けれど。あたしのなかのなにかがストッパーをかけた。 「あのね。……ごめん」  彼が、動きを止めた。ふぅ、と、まだ、熱のこもった息を吐くと、 「この先はもっと、……あなたのことを知ってからにしたいの。お願い」  * * *  そういうところが、好きなんだった。  昔っから、マイペースを貫き、周囲の空気に流されない。  新卒で入った会社での研修は二ヶ月にもおよび、ある種の軍隊というか、学生と社会人の間みたいな中途な空気が流れていた。  そこを戒めたのが、きみだ。 『なんかちょっと空気たるんでるんじゃない?』  びしっとみんなの前で言い放ったさまは、爽快、痛快だった。――或いは。  一部の女子がある女子をハブっていた。それに対しても、オブジェクションを唱えていたね。  毅然と、他の子からは無視されていた女の子に、自分から話しかけに行き。女子が駄目ならと、男子のグループに引き入れるように努力していたね。
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