あなたの知らない、新しい私に

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「バイトは何してるの?」 「ロミオです。喫茶ロミオ」 「そうか。何時までに着けばいい?」 「電車で行く予定だったんで。19時前に着くって言ってあります」 「19時ね……じゃあ、ちょっと時間あるな」 「え、でも、早く着けるなら早く入った方が良さそうなんですけど」 「まあまあ。もともと今日は入る日じゃなかったのに急遽入ってあげるんだろ?」 「そう、ですけど……」 黒川駅の一つ隣の駅、名城公園駅横の駐車場に、北山先輩のランクルーが停まった。 「先輩、あの、私黒川に……」 「いいから。飲み物買って少し歩こう?」 名城公園駅はすぐ目の前にあった。この駅から地下鉄に乗れば10分もしないうちにロミオに着けそうなんですが。今すぐ地下鉄に乗っていきます、だなんて口に出せないぐらいの北山先輩の笑顔の圧を感じて仕方なく彼について近くのコンビニに入った。 慣れてるんだろうな。女の子と二人きりになるチャンスを逃さず車に軟禁し、スキマ時間に強引にデートをする。この鮮やかなスマートっぷりに、私はただただ驚いていた。 断るという選択肢はあったかな?サークルのリーダー様のという親切を無碍にするだなんて、サークルに入ったばかりの1年女子にはできない。私はこのサークルで4年間やっていくつもりだった。
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