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Prologue〜金平糖〜
「ももちゃん、これあげる」
ママのおともだち、ゆかちゃんのむすこのそうちゃんは、わたしの手のひらにかわいいビンを置いた。
「これなあに?」
小さなビンの中には、ピンクやきいろ、いろんな色のほしのかたちのようなものがたくさん入っていた。
「ぼくね、まほうつかいなんだ」
「え?」
「そのビンの中には、ほしが入ってるの。ぼくがつかまえたほしだよ」
ドヤがおをしたそうちゃんに、わたしはただ「すごいすごい!」とばかり言っていた。
そうちゃんは、なんどもわたしにほしをくれた。「またつかまえてきたよ!」って、わたしにうれしそうにわたしてくれた。
そうちゃんと会うときは、いつもママのが車をうんてんして、少しとおいところで会っていた。
ゆかちゃんとそうちゃんはご近所さんというわけではなかった。それでも春夏秋冬、それぞれのきせつに一回、会っていた。
それは、私が小学3年生まで続いていた。
そうちゃんのパパが外国でお仕事をすることになったから、家族で引っ越しをしてしまった。
わたしは、そうちゃんに会いたかった。
でも、わたしもそうちゃんも、ママたちみたいにスマホを持っていない。ママたちはスマホを使ってやり取りをしているけれど、わたしたちにはそれはできなかった。
──そうちゃんに、会いたいな。
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