あなたの知らない、新しい私に

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18時を少し過ぎたところだった。ここから黒川までは車なら10分もかからないだろう。 「桃歌ちゃん、何飲む?」 コンビニでドリンク買って、名城公園をぶらぶらしようとしてるのかな。バイトに間に合うとはとても思えない。 「私、これで」 ドールのグレープジュースを手に取った。これなら秒で飲み終わって出発できるだろう。 「そんな少ないやつでいいの?」 「バイト前なんで」 コンビニの通路を2人強引に横並びになろうとしてるのが気配でわかった。この狭い通路で横並びって密着じゃん。通行の邪魔だし。そうはさせない。先輩の位置から一歩下がった。よし、これで距離が保てる。 私の手からグレープジュースを奪った先輩は、自分のペットボトルのコーヒーと共にレジに向かった。 「あの、それぐらい私」 「いいから。これぐらい奢るよ」 奢るってね。そのグレープジュースはギリ100円するかしないかですけどね。を演出したいみたいだからそのままにしてみようか。 「ちょっと歩く?ベンチ探そうか?」 車の中に戻って2人きりとベンチに座るか。より安全なのはどっちだ?車の中だと何かされそう。ベンチ座ったらバイト間に合わないかも。何この究極の選択。他の選択肢を探さないと。
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