夢見る【少女】

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夢見る【少女】

小さい頃から、夢見がちだと言われていた。 絵本で見た童話の世界。 妖精さん、しゃべる動物、魔法使い、お姫様に戦う騎士(ナイト)。 全部、全部、わたしにとっては憧れで、そして自分の周りにもあるような気がしていた。 それは少し大きくなっても変わらず、小学生のわたしはファンタジー漫画や小説を読み漁り、その世界に浸っていた。 やがて読むだけでは満足できず、漫画や小説の世界に倣って、自分でも様々な想像と…それに伴う奇行をするようになった。 もしうちで飼ってるミーコが喋れたらと思い、ミーコとふたりきりになったら「本当はしゃべれるんでしょ?」と話しかけたり。 もしうちの物置に昔々の魔術書があったらなんて妄想して、物置の中をひっくり返してママにしこたま叱られたり。 もし今度の満月の日に妖精がやってきたら……なんて思って、窓際に牛乳を置いたこともある。妖精にあげるミルクのつもりだったみたいだ。 (段々回想するのがつらくなってきた…) そして日々空想に浸る私は、ベタではあるが最高に痛々しい行いに手を染めることになった。 ノートに オリジナルの 魔法の呪文や魔法陣を書き始めたのだ。 しかもそれを友達に得意げに披露していた。 ……ああ、もう。つらい。思い出したくないし、この記憶全てキレイさっぱり消したいし、ついでに当時の友人の頭からわたしについての記憶を徹底的に抹消してしまいたい。
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