6人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
ここまで説明されて理解した。
「じゃあ、伊予くんはそのささやかな力に目覚めた人ってこと?」
「ああ、たぶん。というか本人は目覚めた自覚なんてないんじゃないかな。本当にちょっとした力だから」
「ふーん……」
ちょっとうらやましいかも。
私もなにか目覚めてみたい。中二病心がむくむく湧いてきた。
「でも伊予くんの力ってなにかな。少なくともスプーンを曲げたりはしてなかったけど」
目が金色になるのが力を使う合図なら、わたしが見たとき伊予くんはなにかの力を使っていたことになる。
でも特に変わったところはなかったはず。
……あれ、でも、わたし伊予くんについて何かが引っかかっていたような。
うーん……なんだっけ。
「それは…俺もわからない。というか、伊予くんに力があることも今日気付いた」
「え!そうなの!?魔術士どうしで共鳴?みたいなのないの」
「ないよ。そもそも伊予くんは魔術士じゃないし。めちゃくちゃ力の強い魔術士どうしならそういうこともあるのかもしれないけど、普通は力を感じることは不可能だよ」
「なるほど。魔術士だからって何でもできるわけじゃないんだね…」
「そうだよ。魔術士が特別なわけじゃない。誰だって得意なことや好きなことがあるだろう。足が早かったり、計算が得意だったり、記憶力が良かったり、ゲームが強かったり…。魔術が使えるのも、そのひとつ…みたいなものだよ」
最初のコメントを投稿しよう!