見える【少年】

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(え、な、なに!?) 電柱に隠れるようにして声の方を覗くと、うちの学校の制服をきた男子生徒が3人。 しかも一人は見覚えがある……クラスメイトだ。 赤茶けた髪に、スラリとした身体。 (伊予くん…!) 伊予くんじゃん!色々話題の伊予くんだ! え、え、なに? もしかしてこれ喧嘩しているの? 伊予くん含めた3人は、歩道のガードレール側に立っている。 伊予くんがガードレールを背にしていて、それを残り二人が囲むように彼をにらんでいた。 完全に伊予くんと残り二人で2対1の構図だ。 喧嘩というよりは、もしかしたら伊予くんが絡まれているのかもしれない。 ど、どうしよう…。 朝はそれなりに人通りが多いこの道だが、今はほとんど無人だ。 ぽつりぽつりと下校中のうちの学校の生徒を見かけるが、みんな伊予くんたちには関わらないようにうつむきがちに去っていってしまう。 気持ちはわかる。わたしもそうしたい。 でも伊予くんはクラスメイトなわけで、そんな彼を完全に無視するのはどうなのと言う気持ちもある。 だけど、わたしになにができる? 飛び出したって邪魔になるだけだし。下手して殴られたりしたら…  自分の想像に背筋がゾッと寒くなった。
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