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【才能】か【反則】か
「と、言うわけで。伊予くんの力は予知能力だと思う」
次の日の放課後。
わたしは結局また空き教室で東雲くんと過ごすことにした。
光井さんは今日もちょっと元気がない感じで心配だったけど、伊予くんのことを東雲くんに相談するのが先だと思ったからだ。
わたしは、伊予くんの喧嘩のことや教室での妙に察しのいい行動について説明して、自分の考えを述べた。
「そっか、なるほど。確かに若葉さんの話を聞くと、そっち系の能力な気がするな」
「そうだよね。でもあんなふうに喧嘩に使うのはちょっと複雑かも……」
「うーん……でもまあ力を何に使うかは本人の自由だしな。
未来が見えるって言っても、コンマ何秒先くらいだよね。それくらいならちょっと勘や動体視力のいい人って感じだよ」
「え……? でも、……本当にそうかな」
「若葉さん?」
「………」
わたしは昨日、伊予くんから話しかけられたときのことを説明した。
わたしを見て、『アンタは教師にチクらないね』と当てたこと。
そのときまた目が金色に変わっていたこと。
するとだんだん東雲くんの顔色が変わっていく。
いつもの柔らかい笑顔から、真剣に悩むようなものに。
「それ、…数秒なんてもんじゃないな。若葉さんが先生に告げ口するかどうかまで見透かしたってことだよね。
それは……ちょっと強すぎるかもしれないな。魔術の訓練もしていないのにそんなに使えるなんて……」
「し、東雲くん……」
「若葉さん、伊予くん魔術を使うとき、魔術道具を使用していた?呪文とか魔法陣とか」
「し、してなかったと思う。ただ、目が……金色に光っていて……その光は東雲くんのより強かったかも」
「………」
東雲くんは立ち上がり、扉をへと向かった。
「伊予くんと話さなきゃいけないかも。まだ学校にいるかな」
「え、ど、どうして…」
「たぶんこのままじゃあぶない。助けなきゃ」
「誰を?」
「伊予くん」
「え!?」
「詳しくはあとで説明する!」
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