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東雲くんはそう言うと扉に手をかけた。
でも結界を張っているのであかない。
「ん〜……どりゃあ!!」
東雲くんは結界を解かずに、力づくで扉を開けた。
バン!と大きい音をたて、扉は開く。
「……俺、結界を解く魔術、苦手なんだ……」
「………自分で張った結界なのに…」
それでいいのか魔術士……。
◇◆◇
わたしたちはまず教室へと向かった。
でもそこには伊予くんどころか、クラスメイトは誰も残っていない。
ホームルームから30分は経っている。
さすがにみんな部活に行くか、帰ってしまったのだろう。
「うーん…伊予くんはどこだろう。帰ったのか、それとも部活……はないか」
東雲くんが口元に手を当て、ブツブツ考えている。
「あ、あのっ、魔術で探せたりしない?」
「え!……うーん……出来なくはない……かもしれなくはないかもしれない」
「どっち!?」
「探す魔術はあるけど俺が使えるかはわからない。
……でも、うん、やってみるよ」
東雲くんは、伊予くんの席に行くと、机に左手をおいた。
そして右手で魔法陣を描く。
「……の……よ。我が願い聞き届けたまえ。……かの者の居場所を示せ。ラ・ファイ!」
呪文を唱え終わると、虹色の蝶々みたいな光がひらひらと東雲くんの周りを舞い始めた。
光はやがて東雲くんから離れ、教室を出ていく。
「あの蝶々についていけば、伊予くんに会えるはず」
「はず?」
「……会えるまで俺の魔術が消えなきゃいいけど」
「と、とりあえずついていこう」
わたしたちは蝶々を追って教室を飛び出した。
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