『対面』

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 行儀が悪いとは思うけど、僕は奥のベッドに身を投げた。フカフカのベッドはふんわりと僕を包んで、微かに香る甘い匂いに気がついた。  紅茶とは違う甘い匂い。花のような……でもこの部屋に花は生けられてない。  甘くてもくどくなく、落ち着く香り。  その香りを胸いっぱいに吸い込むと目を閉じた。  ここ最近目まぐるしいほどの環境の変化に眠れずにいた。昨日も緊張からかあまり眠れなかった。  こんなに気持が落ち着くのは久しぶりだ……。  微かに人の気配を感じた。  母さんが起こしに来たのか。  まだ起き切れない頭で、もう少し寝ていたいのにと愚痴をこぼす。 「………寝てしまうの?」  ため息と共に溢したような柔らかい声音。責めるでもなく起こそうという意思も感じられない。  その聞き覚えのない声にはっと気がついた。  慌ててガバッと起き上がった。 「あれ? 寝たふりだった?」  首を傾げた人物はふんわりと笑うと、「鷹が声をかけても返事がないって言うから」と言った。  鷹? 誰? 「え、いえ……寝てました……す、すいません」
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