渇心

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〈僕は君の味方だよ〉  これが嘘のメッセージだってわかってる。  それでもその言葉が、私の渇いた心にほんの一滴でも潤いを与えてくれるのだ。  その続きが欲しくて、メッセージを続行する。  ――本当? そんな事言ってくれるの、あなただけよ。 〈離れていても、君を想っているよ〉  ――ありがとう。嬉しいわ。 〈愛してるよ〉  この言葉に心がこもっていなくても、送られてきたメッセージに思わずにやける。 「何にやけてるの?」  娘の友梨が訝しげにこちらをみていた。 「別に」  そっけなく答えると、友梨は一瞬眉間に皺を寄せたけど、そのまま自分のスマホへと目線をうつした。  もうすでに眠っている夫からは十年以上聞いていない言葉。シンプルで、強く響く言葉。  もう一度その文字を目に焼きつけて、私はスマホの画面を暗くした。
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