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「ロックは解除してあるわ」
どうせさせられるんだ。最初っから素直にしておいた方がいい。
友梨がすぐにスマホを手元へと引き寄せ、若者らしい流れるようなタップでスマホを操っていく。
「……あった。これだ……アレックス? 外国人? そんな知り合い、ママにいた?」
「いたら、いけない?」
「……っていうか、やっぱりこれ、浮気じゃない! なによ、このやりとり。『僕は味方だ』とか『愛してる』とか」
目を吊り上げて攻める友梨に対して、夫は驚いた顔をして私のスマホをじっと見ている。信じられないものを見たとでもいうかのように。
「浮気じゃないわ」
「ぬけぬけと! 証拠目の前にあるのによく言えるね! パパに悪いと思わないの?」
「だって、やりとりはあくまでスマホの中でだけ。彼とは会ったことないもの」
「……へ?」
きっと畳みかけるように攻めるつもりだった友梨は、想像をしなかった私の言葉に、急激なブレーキがかかったようだ。
「……だが、彼の事は愛しているのだろう?」
神妙な顔で夫が私に聞いてくる。彼のこんな表情は、いつ以来だろうか。
「メッセージ、全部読んだ? 私から彼に『愛してる』とは一言も発していないわ」
「そんなの屁理屈じゃない!」
「私はただ、会話を楽しんだだけ。それでお金を支払っただけよ」
「……は?」
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