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「まさか毎月の出費が、この彼に渡ったというのかい?」
「ママ! 会ったこともない男にそんな大金渡したの⁉︎ それって騙されてるんじゃないの?」
「け、警察に相談するっ」
友梨はさっきまでの剣幕が嘘みたいに今度は慌てだした。
夫も普段では想像もできないような落ち着きのなさだ。二人とも普段とはまるで違う様子に思わず笑ってしまう。
「な、なに笑ってるの? ママ! 騙されたんだよ? しっかりしてよ!」
「別に。騙されてなんかいないわ」
「ニュース見てないの? 最近、中年をターゲットにした『ロマンス詐欺』が流行ってるんだって!」
「今ならまだ被害額も少ない。今すぐこの男とは縁を切るんだ! これ以上深入りするんじゃない」
自分が想像していたのとは違う反応に、やはり家族といっても他人。読み切れない部分があるんだなと思った。
夫はもっと私の事を責めると思ったし、友梨はめんどくさがるか、愛想をつかすと思っていた。
「あなたたちが心配しているのは、私の事かしら? それともお金?」
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