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「聞いてよ(みなと)くん!小学校の頃から応募し続けてる月刊少女誌の漫画公募なんだけどね!中3の時に1回だけ入選したんだよっ!」 「知ってるよ。もう100回は聞いた」 「けどそれっきり。それ以外は努力賞すら無し!それでも三度の飯より描くのが好きだから!高2になった今だって描き続けますけども!」 「勉強は?」 「昨年出した公募も全部一次選考落ちだったの!もうスランプだよスランプ!私の漫画ってそんなに無価値なのっ!?」 (みなと)くんに会いに、放課後の理科室にやってきたのだけど。気づいたら最近の悩みや不満を力の限りぶつけていた。 「僕、今部活中です」 「なにその塩対応?ご近所さんは大切にしてよねっ」 「充分してるし。で、本当なんか用なの?科学部に入部希望?」 「違うし。漫画研究部一択だし」 私はそもそもの用事を思い出して、大きい紙袋を湊くんに突き出す。 「香典返し。(みなと)くんの家に届けてってお母さんに言われたんだよ」 紙袋の中身は分厚いカタログギフトだ。 「なんでこんな重いの学校に持ってくるの?近所なんだから家に持ってきてよ」 「それもそっか」 (みなと)くんは頭を抱えて呻いたけど、紙袋を受け取るとほんの少しだけ頬を緩めた。 「なんだかんだ元気そうだね美空(みそら)。1月に倒れた時はビックリしたけど。それで?あれから何か思い出した?お父さんのこと」 「全然。でもまあ、不自由はないし。もういいんだよ」 だって、きっと。喧嘩の理由は受け止められないことだったんだろうから。
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