出来ちゃった結婚する気

1/1
前へ
/13ページ
次へ

出来ちゃった結婚する気

 すぐに首領たちは院長室へ通された。  首領の他、娘のアンジェラとジャスティン、そして側近の(ホシ)優真だ。 「なんなの。こんなに物々しくギルディアの戦闘員(ひと)たちを引き連れて。離婚した時にちゃんと約束したでしょ。診療時間は病院へ来ないでと。入院中の患者さんたちの迷惑なんだから、とっとと引き返しなさいよ」  院長の織田マリアは首領ベガをアゴで指示した。自分の意見はハッキリ言うタイプだ。美しいが気性はかなり荒そうだ。 『いや、悪かったよ。マリア……』  悪の首領は済まなそうに頭を下げた。  首領は前妻にも頭が上がらないようだ。 「お黙り。離婚したんだから、いつまでも私の事をマリアって呼び捨てにしないで」 『ぬうゥッ、済まなかった。だが今回はアンジェラの事で、ちょっと相談が……』 「相談って。アンジェラが、どうしたって言うのよ?」  マリアは娘とジャスティンを見つめて訊いた。 「別に」  アンジェラはふて腐れたようにそっぽを向いた。ずっと隣りのジャスティンと腕を組んだままだ。 「フフゥン、まさか、アンジェラ。そっちのイケメンさんと『出来ちゃった結婚』する気じゃァないでしょうねェ?」  織田マリアは冗談交じりにアンジェラに確かめた。 「うッううゥ……!」  少しアンジェラは動揺し呻いた。 「あらあらァ、マジで?」母親のマリアは苦笑した。 「あッ申し遅れました。お義母様(かあさま)でしょうか。オレは正義の味方ジャスティンです」  意外と丁寧に自己紹介した。 「フフッ、お義母様(かあさま)じゃなくって、マリアとお呼びなさい。ジャスティン」  マリアはセクシーに笑みを浮かべた。 「はァ、マリアさんですか?」 「フフッ、やっぱ一緒に暮らしていなくても母娘ね。私同様にイケメンが好みなのね。アンジェラも」  マリアは正義の味方を見つめて微笑んだ。 『いやいや、決してジャスティンはイケメンではない!』  すぐに首領のベガは何度も手を横に振って否定した。  ジャスティンがイケメンと呼ばれて、首領は納得出来ないようだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加