出来ちゃったのよ

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出来ちゃったのよ

「ねえェ、絶対に秘密なんだけど」  悪の秘密結社(ギルディア)の首領の愛娘(まなむすめ)アンジェラが見上げるほど背の高い彼氏に耳打ちをした。  躊躇(ためら)いがちで言い(にく)そうだ。 「ん、なんだい……?」  彼氏はご存知、正義の味方のジャスティンだ。今は変身前でラフな私服を着用していた。  けれどひと目見て一般人とは違っていた。モデルのようにスラリとしたイケメンだ。  (はた)から見れば美男美女のカップルと言って過言ではない。  すれ違う人たちは羨望の眼差しで二人を見ていた。 「それが」彼女にしてはハッキリしない。  いつもはもっとおしゃべりだ。 「どうしたアンジェラ。またお義父(とう)さんに叱られるような事をしたかな?」  ジャスティンは肩をすくめ困惑ぎみに微笑んだ。彼が心配するのも無理はないだろう。  恋人のアンジェラの父親は宿敵、悪の秘密結社(ギルディア)の首領ベガなのだ。 「ええェ、ちょっと大変な事が」  よほど言いづらいことなのかアンジェラも美しい眉をひそめた。 「ふぅん、オレもちょっとアンジェラのお義父さんは苦手なんだよ。顔を合わせると、すぐ言い争って(くち)ケンカになるからねェ」  ついジャスティンも本音を漏らした。 「うゥん、実はね。出来ちゃったのよ」  アンジェラは渋々、耳打ちをして告白した。 「えェッ、なにィ出来ちゃったァ?」
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